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聖武天皇の性格など今わかるわけはありませんが、母親が自分を産んだ後、おかしくなり、祖母に育てられたということが、聖武天皇の性格になんらかの影響を与えたことはま違いないと思われます。

謎の彷徨というか、あの遷都騒ぎは、一体どういう理由なのか推測以外はありませんがまず、性格。

そして、自分が天武のまごであり、周りは天武をまったく評価していない、そして、母親が皇族でない、しかも精神に変調をきたしている、その辺の葛藤が、仏教へのどちらかと言えば異常なまでの思い入れ。そして遷都の理由と私は考えます。

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繰り返しばかりですが、不比等にとっては天武の即位は不本意でした。そして、天武の都である藤原京から強引ともいえるやり方で遷都を実行し、平城京のマスタープランはすべて不比等が描いた通り進められます。

持統、元明とはその血筋(草壁の皇子)不比等にとっては天智の血筋を伝えるという同床異夢といった形で利害が一致しました。

文武に宮子を嫁がせたのもその実現の手段でしたが、けっして平安時代の摂関家のように、外祖父として支配力を強める目的はまだなかったと思われます。

ところでその宮子ですが、後の聖武天皇(首皇子)を産んだ後、精神に変調をきたします。そしてその子育てには全く関知できず、逆に持統、元明の手によって育てられたことで強い後ろ盾を得た皮肉な結果になっています。

宮子が奇跡的に回復するのはなんと30数年後、玄昉によってです。

中臣氏は古来神道を司る家柄です。従って歴史に登場するのは、物部氏と蘇我氏の間で争われた、神道と仏教の争いで当然物部氏側で登場します。しかし裏切った挙句殺されるというはなはだぱっとしない登場のしかたでした。

そのごしばらく、歴史上に名前が出ず、次は中臣鎌足として登場します、天智天皇に登用され、死後に大職冠、藤原氏を授けられますが、生前は内大臣どまり、今で言えば官房長官でしょうか、大臣には違いないが、秘書役、右大臣、左大臣といった要職には就けずじまいでした。これは中臣氏という出自がそれほどのものでないことを表しています。

ここでも、鎌足は既に死んでいましたが壬申の乱の敗者がわということで、また逼塞することになります。

そして、不比等の登場です。前に書いた天智の隠し子かも、ということも影響したかもしれませんが、やはり能力があったのでしょう、持統天皇に登用され、位をあげていきます。

大体不比等という人は後家殺しというか女性に持てたようです。

持統天皇、元明天皇にも深く信頼され、三千代を妻とし、あまつさえ天武の妻で鎌足の娘、異母妹である五百重姫との間に子さえもうけています。

一般に蘇我氏は大化の改新で滅びたかのように思われていますが、蝦夷、入鹿の系列が討たれただけで、蘇我氏が完全に滅びたのは壬申の乱です。

そして、不比等の最初の妻は蘇我氏の出。

大化の改新は鎌足、壬申の乱は天武。

元興寺が蘇我氏の氏寺で、それが興福寺の足下のあるのは、何か意味があるはずですが、今のところわかりません。

これは、不比等が推し進めたことは周知の事実です。

奈良の都には外京という張り出しがあります。

そこに藤原氏の氏寺である興福寺があります。

この興福寺からの景色は今では眺望がさえぎられて見えにくいのですが、平城京を一望できる高台です。

そこに山を削り、谷を埋め興福寺を立て、その足下には元興寺、蘇我氏の氏寺があります。

この意図は明らかではありません。鎮魂のためか、蘇我氏を見下ろすためか。

ただ不比等の最初の妻は蘇我氏、倉麻呂の子、連子の娘、娼子です。

平城宮にも同じような張り出しがあります、その横に不比等の屋敷があります。

いずれも平城京が不比等の構想の下に完成したことが伺えます。

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