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少しだけって、とてもそんな感じじゃないけど、あんまり雅楽の話をしたくなさそう。
でもなんか聞いてほしくて、昨日の話をした。
「ほんとに、恥ずかしくって、申し訳なくて」
「失敗は誰にでもあるし、そう気にしなくて良いよ、向こうの人も解ってないみたいだし(笑)」
「でも、情けなくて・・」
「そう思うことが大事なんかも。言ったでしょ,唱歌をしっかりしろって、唱歌を頭の中に叩き込んで、その上で周りの篳篥や笙の音を良く聞いて、特に篳篥がどう吹いてるかを、よ~く聞くことだね」
「そうですね。でもまだ篳篥の音も聞く余裕がなくて」
「練習と経験。これしかないね。まあどんどん失敗して覚えていけば良いよ」
「はい。ああこのコーヒーおいしい!!」
「うん、ほんとおいしいね。来てよかった。奈美も良い話聞けたしね。」
「うん、ここへ連れてきてくれてありがとう」
これから、この店には何度も足を運ぶことになった。
それかも、あっちこっちの行事に駆り出される機会がどんどん増えた。
秋は色んなところでお祭りがある。
そしてお祭りには雅楽が欠かせない。
こういったことも雅楽をやり始めて初めて解ったことなんだけど。
奈良だけじゃなくて、京都とか大阪までも出かけた。
回数を重ねるごとに要領もわかってきたし,度胸もついたし、周りの音も聞き取れるようになってきた。
ほんと、何事も経験。
11月になると、また演奏会。
その稽古も始まった。
なんと、今度は私も舞いをすることになった。
「春野、舞は左か右がどっちがいい」
「え!!そんなの、わかりません」
「左だったら笛の譜で稽古するから左の方がいいかな」
「は~。それじゃ、そうします」
なんて、けっこう適当に左の舞に決まった。
まあそれだけ、私が重要視はされてないことなんだけど。
今日は初めての舞の稽古。
舞は4人舞。練習では私を入れて6人で稽古が始まった。
ということは本番では2人は出れないわけ。
当然1番新米の私は控え。
だから気は楽。
でも初めての舞は想像以上に難しい。
他の5人は一応経験者。
まったくの初めては私だけ、だから詳しい説明なんてしてくれなくて、いきなり舞え、なんだもん。
舞は「北庭楽」と言う曲。
他の5人もこの曲は初めてだとか。
「春野、もっと腕を伸ばして」
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「ああ、なお」
「どうしたの?なんかしょぼくれてたよ」
「エ~そう見えた?昨日ね、神社のお祭りに笛を吹きに行って大失敗したの」
「え!!そんなことやってんの?知らなかった。でもすごいじゃん」
「なにが?」
「だって、お祭りに笛を吹きに行くってすごいよ」
「そりゃそうなんだけど、あんな失敗しちゃ申し訳なくて。向こうの人にとっては大事なお祭りなのに」
「怒られたの?」
「全然、逆に上手に吹いたって褒められるんだもん嫌になっちゃう。」
「じゃ良いじゃん、喜んでもらえてるんだから、ま、終わったことは気にしない気にしない。ね、お茶でもしない?」
「うん、いこ」
「ガイドブックに載ってた気になる店が駅の近くにあるんだ。あ、ここここ」
ドアを開けて店に入ると・・・
「あ、こんにちは」
「え、なみ知り合い?」
「う~ん、この前飛火野で笛を吹いてる時であった人なん」
「この前ありがとうございました」
「え、前にお会いしましたっけ?」
「飛火野で笛を吹いてた時にアドバイスしてもらった・・」
「あ~あの時笛を吹いてた人。ごめんなさいつい余計な口出しをしてしまって。ほんとにいきなり無礼だったですよね」
「いえ、おっしゃって頂いたとおりです。唱歌をあれからは一生懸命練習してます」
「そうなの。余計なお世話だったのにちゃんと聞いてもらえたなんて嬉しいな。」
「あの雅楽をやってらっしゃるんですか?」
「ああ、昔少しだけ齧ってた程度です」

 

朝、近鉄奈良駅で車に乗せてもらって出発。
なんかほんとに私で良いのかな?
この展開に未だついていけない自分が居る。
失敗したらどうしよ。
マイナス思考ばっかりで、行く途中もすっかり黙り込んでしまっていた。
「どないしたんや、えらいおとなしいな。気分でも悪いんか?」
篳篥の足立さんが心配して声をかけてくれた。
「いえ、ちょっと今日のことが心配で」
「どうってことあらへん、練習と同じように吹いたらええねや、まあ気楽に考え」
そう言われてもなにせ初めてのことだし。
目的地に到着。
すぐに装束に着替えて、スタンバイ。
お祭りが始まる。
合図に応じてまず笛。
乱声(らんじょう)、文字通りリズムがなく、拍子もなくいわば勝手に吹いてるように聞こえる曲。
合図に従って止め手。
曲の終わりは止め手と言って、決まったフレーズがある。
そして太鼓が入る、ほんとは鞨鼓も入るんだけど、今日は3人で、太鼓だけ。
ふ­~、とりあえず無事吹けた。
ちょっと落ち着いてきた。
「え~と、次何吹く?」
「え!!決まってないんですか?」
「うん、何でもええで」
そんなもんなの?と言っても・・
「それじゃ越天楽でも良いですか?」
「ああ、ええよ、そしたら、平調の曲で撤餞は、鶏徳でええかな?」
「ああ、はい1回練習したことあります」
「最初は音取りな」
平調というのは、曲の調子、まだ良くわからなけど、雅楽には六調子あって、壱越調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調がある。
そして、今回その中の平調の曲を選んだから
、最初に平調の音取りを演奏する決まりだ。
前にも書いたけど、音取りは文字通り音合わせ。
笙、篳篥、笛の順で、音を合わせていく。
これはごく短い曲、そして越天楽。
まず笛、そして笙、篳篥が続く。
もういや、口の中がからから、音もでにくい。
こんなに緊張して吹くのは初めて。
ああ、やっと終わった。
止め手を吹く。
もう汗びっしょり。
お祭りは淡々と続いて、そろそろ終わり。
神様にささげた、お供えを引き上げるのが撤餞。
これで終わりだ、やれやれ、無事に終われそう。
鶏徳、そんなに難しい曲と言うわけでもないけど、練習はあんまりしていない。
音頭、そして笙、篳篥、あ、今何処?エ、何処吹いてるんだっけ?
どうしよ、わからない。
ほんとにパニック。
もう適当に吹くしかない。
終わりの合図だ、止め手。
最低、篳篥を聞いても何処を吹いてるか全然わからなかった。
鞨鼓もないし、目安のつけようがない。
お祭りが終わったら,直会(なおらい)。
わ~、吸い物に松茸。
良い香り。
祭の世話役さんが、「今日はご苦労さん、別嬪さんが、笛を吹いてくれはったから、神さんもよろこんではるやろ」
わ~恥ずかしい、あんな失敗をしてしまって、喜んでもらえるどころか、申し訳なさでいっぱい。
もっと、もっと練習しなくちゃ、反省ばっかり。
あくる日、学校で。
「奈美!」

 

「え!!そうなん。で、2人はつきあってんの?」
「井上さんは、全然その気がないから、まあ片思い」
「そうだよね、年も井上さんが上だし・・」
「ほかにもね、笙の近藤さんと篳篥の大矢さんは付き合ってんのよ」
「へ~、結構そういうにありなんだ」
「ところで、春野さんカレいてるの?」
「やだ、いきなりそういうこと聞く!いまはなしだけど」
「山中さんは?」
「私も今はなし、笛一筋ってとこ」
「まあ、かっこいい」
「へへ、それはうそ、この前別れたとこやの」
なんて、つまらない話もできるようになった。
でも、稽古は一生懸命やってます。
このごろ稽古で時々音頭(おんど)をやらされるようになった。
音頭と言うのは、曲の最初に1管だけで最初のフレーズを吹き出す、いわば第1走者みたいな感じ、厳密に言うと、その音頭しだいで、曲の雰囲気が決まるぐらいの大事な役目。
さすがに緊張する。
最初の1小節を吹いて鞨鼓、太鼓が入って、笛の助管や、他の楽器が加わるとほっとする。
でも練習でも、これをやらせてもらえるのは、少しは認められたってことかも。
ちょっと自慢だけど、山中さんは少し先輩だけど、まだ音頭を任された事はない。
音はほんとにか細い。
私が思うに練習量の差だと思う。
もちろん、この前公園で言われたように、いつも思い切り息を入れる訓練をしないと駄目。
一応一人前扱いをしてもらえるようになったら、いきなり出張。
要するに、頼まれて神社の祭典に笛を吹きに行くことになった。
神社のお祭りは、最近では日曜とかに変えるところもあるけど、基本的には日時が固定されている場合が多い。
だから、どうしても平日になることがある。
そうすると、会員の人は仕事を持ってる人が多いから、暇な学生にお鉢が回ってくる。
この前の土曜日、練習が済んで、楽頭の安倍さんが今度の火曜日宇陀の神社の祭典に行ける人いてるかって聞かれた。
笙と篳篥はすぐ決まったんだけど、笛が笹山さんは「俺はその日はあかんは」
佐藤さんも「その日は無理」
と、なかなか決まらなかった。
突然「春野お前はどうや?」
「え、わたし?私はそんなの無理です」
「無理って、その日あいてないってことか?」
「いえ、空いてるのは空いてますけど、私はまだそんなの無理です」
「大丈夫大丈夫、ほないけるんやな」
「ええ、まあ」
なんてことで無理やり押し付けられてしまった。

 

言われたとおり、笛は息を入れたら入れただけ音が大きくなる。
めちゃないれ方をしない限り、音が割れることはない。
フルートはどちらかといえばそっと、ソフトに息を入れる。
指使いでも、フルートはキーが指穴を押さえるのでじかに指で穴をふさぐわけではない。
でも雅楽の笛は、指で穴をじかにふさぐわけだから、きっちりとふさがないと音は変わる。
中途半端に指を開けても音程が変わる。
似てるようでも、細かいことは随分違う。
あんまり熱心にフルートをやってたわけじゃないけど、やっぱりそれなりに癖がついてるのかも。
今日の公園での練習は思わぬ収穫だった。
皆に褒められて、ちょっと調子に乗ってたかな。
まだまだいろいろ勉強しなくちゃ。
この日から、ますます熱心に練習をするようになった。
もちろん唱歌も。
最初は早い時間の初心者の練習に入っていただけだけど、最近は上級者の練習にも入れてもらえるようになった。
少し嫌いな笛の指導者、佐藤さん。
親もその親も楽をやっていたという血筋らしい、本人も小学校へ行く前から練習に来ていたとかで、まだ学生だけどもう先生、まあ生意気でも仕方ないか。
その佐藤さんとか、もう一人大学のサークルで雅楽をやってる、山中さんと言う女子大生が、同年代。
あと女性では、社会人で美人の井上さんが笛。
だんだん皆と話をするようにもなってきた。
山中さんは、おちゃめ。
会の中の人のことものすごく詳しくっていろいろ教えてくれる。
「ねえ、知ってる?佐藤さん井上さんのこと、好きなんよ」
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