忍者ブログ
アカダマブログ
[802]  [801]  [799]  [798]  [797]  [796]  [795]  [794
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


猿沢池の采女の話は『大和物語』に記載されています。

『大和物語』は、はっきりしたことは不明ですが、
大体天暦5年(951)か6年頃を一応の成立時期とされています。

作者についても在原滋春、花山院、篤慶親王の侍女大和説と
定説はありません。
形としては歌物語ですが、伝承を建前としながら実在の人物や
官位を記載していることも特徴です。

猿沢池の話は第150段。

「むかし、奈良の帝につかうまつる采女ありけり。
   顔かたちいみじうきよらにて、」という書き出しで始まる。

そして采女が猿沢の池に身を投げたことを帝がきこしめして、
いとあはれがり、池のほとりに御幸したまひて、供の人麻呂に
歌をよませたまふ。

 人麻呂が天皇に変わって読んだ歌
   わぎもこが ねくたれ髪を 猿沢の 
         池の玉藻と みるぞかなしき
 帝

 猿沢の 池もつらしな わぎもこが 
          玉藻かずかば 水ぞひまなし
                    註 「玉藻かづく」は入水すること

奈良の帝というのは一応平城天皇とされるが、奈良時代の天皇としても
人麿とは時代が違い、正確な歴史事実ではなさそうで、かなえられない恋のため
入水した女の古くからの伝承があり、それを歌物語に仕立てたものと考えられます。

伊勢物語も、この大和物語も、歌があり、それに物語をつけた形式です。

この采女を祀ったとして、采女神社が猿沢池の西北池畔に西向きに鎮座しています。
但し鳥居は本殿の背後、猿沢池に向かって東向きに開いています。
『奈良坊目拙解』に
「上古この地、興福寺別院の領内にて、子祠を坊の東北の角に建つ、
後世、在家となるに及び、新たに東に口を開き鳥居を建つるなり、、」
とあります。
鳥居を入って背を向ける本殿はおかしいと言うことで、一時期本殿を
東向きにしたことがあったようで、寛永11年(1634)
「采女宮東向安鎮御表玉串祓」と書かれた箱書き銘が当社に遺されています。
「此の当宮往古より西向きの神社なるを、此度依御寺務一条院様幷
学侶六方衆会、東向奉安鎮座所也、、、、」
寛永11年申戊3月4日下遷宮、同晦日上遷宮

この神社の最古の記録は『大乗院寺社雑事記』応永2年(1468)
10月5日条。

猿沢池は奈良朝以来興福寺の放生池、中世には竜神が住む聖なる池
と信じられていました。
多くの放生池には弁財天女が祀られており、
弁財天は水に縁の深い龍蛇信仰と同一視され、采女との関係で言えば
采女が入水して龍体と化し、その龍が弁財天に昇華すると考えられます。
また、猿沢池には名月の夜、池に手足をつければ霜焼けにならないとか、
その月の光で針に糸を通すと裁縫が上達するとかいう庶民信仰が伝えられています。
また、猿沢池では毎年中秋の名月に悲恋のヒロインの采女を鎮め慰めるため
花扇舟や管弦船が池を巡りますがこの神事は実は昭和24年から
始まった新しい行事です。
現在祭神名は事代主となっていますが、明治維新の神社改革で改正されたものですが、
古い由緒があるに関わらず、この改名はいただけません。
寛文11年(1671)春日神社文書・第2に当社下遷宮祝詞として
「かけまくもかしこみ、采女霊神乃宇津乃広前に・・・・」とあるそうです。

PR
POST
name
title
mail
URL
comment
pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret(※管理者へのみの表示となります。)
COMMENT
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
[04/21 あき]
[12/09 宮前 英明]
[06/28 大石孝]
[11/08 千鳥祐宣]
[08/10 こちずふぁん]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
マスター
性別:
男性
趣味:
歴史
自己紹介:
奈良市にあった喫茶店『可否茶座 アカダマ』の元マスター.
バーコード
ブログ内検索
カウンター
カウンター
アクセス解析
アクセス解析
Copyright © akadama All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog
Graphics by 写真素材Kun * Material by Gingham * Template by Kaie
忍者ブログ [PR]