先日のアカダマ会で少し話題に上がった天照神についてよく分からなかったので少し調べてみました。
結論は、やはりよく分かりません。
が、それでは話にもならないので、理解できる範囲で書きますと、まず尾張氏の祖神が「火明命」。
『新撰姓氏録』では天孫の部に入っています。
ようするに、中臣氏や物部氏の天神の部と対照して、皇室との関係性が強いようです。
で、この神は天火明命とも、天照国照彦天火明命、また天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊とも単に饒速日命と呼ばれているとのこと。
ただし、物部氏に祖神である饒速日とは違うと言われています。
この神が天照神と同一神で、皇室の祖神天照大神の原型の一つとしての太陽霊格であろうと。
しかし、伊勢の天照大神とは別の日神で。
①男性神格と考えられている。
②海人族ゆかりのある霊格である。
③その中の別格として、対馬系の日神・天日神命(アメノヒノミタマノミコト)がある。
(対馬は天道信仰など古くから太陽信仰が行われ、日光受胎譚等も語られている。日神として下県郡の阿麻衰氐留神社があり、これは後世与良郡小舟越村にあって照日権現となずけられ、これが対馬県主等の祖「天日神命」である)
④それ以外の天照御魂神の多くが、尾張氏及びその同族と伝えられる畿内の諸豪族の奉載する神である。
⑤これらの氏族の共通の祖先とされる火明命の名が『日本書紀』『旧事本記』では、天照国照彦火明命と呼ばれ、
「天地を照らす光輝」すなわち太陽の光を人格化した名であるらしいこと。
⑥そして天照神社・天照御魂神社の祭神としては、天孫、火明命を祀ると伝えていることが多い。
以上のように、いわゆる皇室神天照大神とは違う天照神が存在している。
ただ天照大神と天照神は全く違うかと言うと、これは微妙で、伊勢大神が古くはアマテル神と呼ばれていたことは、神楽歌
「いかばかり よきわざしてか 天(あま)てるや、ひるめの神をしばしとどめむ」とあったり。
皇大神宮鎮座の伊勢度会郡にある神路山の一名を天照山(アマテルヤマ)といっており、アマテラスはアマテルに敬語をつけた形に他ならない。
そして天照大神が男性太陽神であった形跡すらある。
女性化したのは神妻として仕える斎宮の印象が強大となり、神格に投影したからという可能性も指摘される。
以上、天照大神と天照神は違う扱いであることは確かではあるが、別物と言い切るのは難しい。
とにかく天照神は尾張氏の祖神である。
そしてその尾張氏は葛城氏と深い関係があり、尾張氏、葛城氏は皇室と深いつながりがある。
とにかく、神様は難しいというのが私の率直な感想です。
参考文献 『日本書紀研究』第5冊「尾張氏の系譜と天照御魂神」 松前 健
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