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大昔、神様は、名前もなく天然自然そのもが神様でした。

もちろん太陽、山、石、水、木。

春日の地にあっては、御葢山そのものが神でした。

神奈備山は、集落の近くにあって、円錐形のをし、樹木に覆われ、美しい山容をした山に限られます。

大和にあっては、三輪山が有名ですが、御葢山もその一つです。

そして、その山には磐座、磐境といった巨石や、列石があります。

磐座が神がお座りになるところです。神がその磐座や磐境に降臨されます。

今でもそうした石は春日の地の幾つも見られます。

春日大社本殿はその磐座の上の築かれています。

ではその岩達をお祭りしていたのはと言えば、よく分かりませんが、一応、和邇氏、あるいはその系列に連なる、小野氏、春日氏などが考えられます。

阿部氏と言う説もあります。

阿部氏は今の阿部の文殊院のあたりが勢力範囲と考えられますが、それ以前この春日の地に住み、藤原氏に春日の地を譲り渡したのは阿部氏であり、それが鹿島からこられた武甕槌命が最初に休まれたのが安倍山であるという伝説に残っているということです。

しかしこの辺のことは、記録にはありません。

ただ大和の伝説で、春日の神が、もともとの地のかみである耳の遠い神さんに、土地を3尺だけ、貸してください。

そして「いいとも良いとも」と貸してあげたら、地下3尺まですべての土地だったという話があり、この土地を譲渡した神が、今回廊の端に鎮座する榎本神社だと言う話が残されています。

要するに、もともと春日の地を支配していた勢力に、土地明け渡しを迫って、譲り受けたということです。

だから、最初この春日の地で祀られていた神と、春日大社の神は別の神様です。

それが何時のことか、どういう神かが問題です。

 

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