category:From マスター
世の中には聞いておいて良かったことと、聞かなければ良かったことがある。
マスターのことはむしろ知らなかった方が良かったかも。
そんな事情で雅楽のことをあまり話したがらなかったとは。
私がしきりに雅楽の話をすることは、過去の痛みを掘り返すことになっていたのではないだろうか。
でも、舞の練習中はむしろ楽しそうだった。
ひょっとして私に娘さんの思いを重ねているのかも。
次から、どう接したらいいんだろ?
舞を褒められたのは嬉しかったけど、少し重い気持ちになった。
11月3日になった。
朝から抜けるような青空。
絶好の舞楽日和。
万葉植物園は紅葉はまだ始まったばかり、まだまだ緑の木々が多い。
それだけ、左の舞の赤い装束が映えるというものだ。
朝からその植物園の池の中にある浮き舞台に板を敷いたり、敷物をその上のかぶせたり、楽屋の幕を張ったり、琴とかの大きな楽器を運んだり、結構やることが多かった。
本殿では朝から明治節のお祭りがある。
そこでも舞楽が1曲奉納される。
だから、そちらの方にベテランの人たちが行っているので、設営はもっぱら若手の仕事。
だから、気が楽で皆でわいわい言いながら作業するのは楽しかった。
準備が終わったらもうお昼。
食事が済んだら、いよいよ装束を身につける。
もちろん、私にとっては始めてづくし。
舞楽の装束は女性用などもともとない。
でも、そこが着物のよさ。
長さとかを調節すれば男女の区別はない。
しかし、女性として舞うわけではないから,言わば男装の麗人かな。
まず白衣の上に下襲(したがさね)、袍、半臂(はんぴ)、忘緒、金帯,差貫、(さしぬき、はかまのこと)赤大口、踏袍懸(ふがけ)、そして履物として糸鞋(しかい)。
これだけを身に着ける。
下襲と袍は後ろに長く伸びて引きずる。
とても一人で身につけられるものではないし、私には順番も付け方も全然わからないから、人形のように突っ立って、よってたかって着せられると言う感じ。
帯をぎゅっと締められて出来上がり。
なんか身動きできない感じ。
最後に頭に鳥甲。左右の視野がぐっと狭められる。
なんかロボットになった感じ。動きもギクシャクする。
大体初めてなんだから一度ちゃんと装束を身に付けて練習したかった。
なんて思っても手遅れ、これで舞えるんだろうか?
どんどん緊張が高まってくる。
最初に例によって管弦が始まる。
その音色を聞いているだけで、なぜか口の中がからからになってきた。
とてもじゃないけど、装束を身に付けた喜びなんて感じる余裕はない。
後の3人も口数が少ない。
とても軽口を言い合う余裕はないみたい。
と言うことは、緊張してるのは私だけじゃないってことか。
でも後の3人はこれが初めてじゃないんだし、北庭楽も何度も舞ってるんだから、私とは緊張の度合いが違う。
管弦が終わった、いよいよだ。
最初に振鉾。
左右の舞人が舞台を清めると言う意味で、鉾を持って舞う。
これが終わったら出番。
前奏が始まった。
緊張感が最高に高まる。
一臈、二臈、三臈、四臈と順番に並んで出を待つ。
わあもう堪えられない。心臓が破裂しちゃう。
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