category:From マスター
「春野」
「はい」
「お前、どうせ出ることはないとおもってるやろ」
「いえ、そんなことありません」
「練習態度見てたら解る、あんな、女子の場合、今練習してるメンバーが左の全部や。男子だったら代わりは何ぼでもおるけど、女子はおらん。せやから、村田さんが出れなかったらメンバーは5人、誰かが都合悪なったら、春野、お前が出ることになるねんぞ、ええカゲンな練習ではあかんぞ」
え~、うっそ。
村田さんが本番駄目やから言うて、こんな展開になるわけ。
私はまだ雅楽を始めて10ヶ月足らずなんだよ。
無理無理。
まだ何にも覚えてない。
でも、ほんのちょっぴり、出たいと言う気持ちが心の隅にあるのは本音。
でも、舞えない。無理。
5月の舞台で小学生の中冨君が周りをちらちら見ながら舞ってたけど、わたしも出たら、あんなのかな?
それはいや、出るんだったら、ちゃんと舞わなきゃ。
でも、無理、頭の中でぐるぐる同じことばかり繰り返していた。
まあ、大丈夫。皆ちゃんと出れるよね。
「ねえ、村田さんってなにしたはるの?」
「保険会社らしいけど、よう知らん、でも仕事は大変みたい」
「ふ~ん。あんまり練習もこれへんのやったら、残業も多いんやろね」
「うん、前に聞いたけど、仕事が忙しかったら忙しいほど、雅楽が大切なものになるんやて」
「どういうこと?」
「私らにはわからへんけど、ようするに雅楽が心の安らぎってことやろな」
「そうか、なんとなくわかる気がする、何時でも好きな時に練習できる私らは、そのありがたみが、あんまりわかってないんかもな
藍子、頑張って練習しよな」
「うん、そうやけど実は私も、あぶないねん」
「え、出れへんちゅうこと?」
「バイト先が11月3日はものすご忙しい日やから、休むことに良い顔せえへんね」
「そんなん、あかんよ!!それこそ就職したら出れへん様になるかも知れへんのに、今しっかり頑張らな」
「解ってるって、そやけど、向こうの事情もようわかるよってつらいねん」
皆それぞれ事情があることが良くわかった、私みたいに能天気にやってるわけやない。
それだけに、できる時に一生懸命やっとかな後悔することになりそう。
よし、頑張るぞ!!せやけど、何にも覚えてへん。
どうしたら、覚えられるんやろか?
でも、私が出ることになるんやろか?
また考えがいったりきたり。
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