前に山に対する崇拝を書きましたが、同じ自然物では石に対する崇拝があります。
「石神」「磐座」「磐境」といった言葉で表されます。
古代人は石や木も霊魂を持ち活動すると考えていました。
特に変わった形の石は神霊がこもると考えられていました。
石も成長したり、子を産んだりすると信じ、それでも石の永久に堅くて変わらないという特性を不思議なものと、とらえていました。
だから石神とは石そのものが神の姿ですが、また神聖な石には神が降りられる、あるいは神がお座りになるものとして磐座があります。
臨時に神をお祀りする場を、石で囲んだり、小石を敷いたりするのが磐境です。
すべては石には霊が宿るという根本概念から起こっています。
春日で言えば、春日大社本殿楼門前にあるさくで囲われた「赤童子出現石」も小規模な磐座であり、見ることはできませんが、春日大社本殿の下にも磐座があります。
水谷川神社の本殿の下にも同じような磐座があり、これは目にすることができます。
またこれも見ることはできませんが、御葢山の東半部中腹に帯状に連なる列石があり、御葢山の東半分にめぐらされていてこれは磐境と考えられます。
他に奈良では柳生の天石立神社のご神体は花崗岩の巨石ですが、これが石神です。
自然神ではほかに水神があります。
池神・沼神・河神あるいは龍神、また水分神社などがそれです。もちろん海の神もその範疇でしょう。
このように日本の神の源流たる自然神には、もともと固有の名前はありません。
本居宣長の言う「可畏きもの」(かしこきもの)が神です。
「出雲風土記」によれば、神祇官社184の中25、非神祇官社215の中3しか祭神が記されていません。
「延喜式」の神名帳のおよそ64%が祭神不明なのです。ところがこれが享保年(1717)ではほとんどの神社に祭神が書かれています。
どういうことかと言えば、記紀の皇統譜につながる神々を祭神として行ったのです。
社格を高めて、それに見合う地位あるいは、極端に言えば利益にあずかる事が目的と考えられます。 したがって現在の祭神から、神社の当初の形態を探ることは難しいのです。
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