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従来このブログは古代史と奈良のことを書いてきました。
この2回ほど、私は奈良大学で道真に関する授業を半年間受けてきたことから、
時代も地域も奈良とは少し関係がないことを書くことになっています。
そこで、少しこじつけですが、少し奈良に関わる話を書きます。

菅原氏は以前は土師氏と称していました。
前に古市古墳群の話の中で、百舌鳥古市古墳群の巨大な前方後円墳はよく観察すると
同形・同大や同形の縮小拡大した古墳が存在する。
そこからこれらの巨大古墳の造営に関しては、技術者集団として土師氏が主導した
と書きました。
そして藤井寺市一帯は土師の里と呼ばれ土師氏の住まいするところとなりました。
土師氏に関しては、『日本書紀』の垂仁期に野見宿禰の埴輪期限に関わる話が
記載され、そこから土師氏は天皇の葬送儀礼に従事した旨書かれています。
しかし、平安時代に入ると、葬送儀礼の変化もあり、その役割も低下し、
氏族として前途を広げる必要もあり、その居地にちなんで菅原氏に改姓を願い出ます。
その改姓を願い出たのが道真の曽祖父古人です。

その居地は現在の奈良市菅原町であり、今も延喜式内社の菅原神社と菅原寺があります。
その古人は、桓武天皇の時侍読を務め、「儒行世に高く、人と同ぜず」とされ
世に認められた儒者でした。その古人の四男が道真の祖父清公、その子が道真の父
是善で、いずれも文章博士となっています。

三代に亘る儒門の領袖である菅原の家に生まれた道真は「幼にして聡穎、才学日に新たなり」とされ、学問を家の「祖業」と強く意識し、その継承とさらなる発展を自己の負うべき務めとして学問に打ち込みました。

その様子は「少(わか)かりし日 秀才(すなわち文章得業生時代)たりしとき、

「光陰 常に給(つ)がず、朋との交わりに言笑を絶つ、
妻子も親しび習うことを廃めたりき」

「帷(とばり)を垂れ戸を閉ざし、経典を渉猟す。風月花鳥有りといえども、
蓋し詩を言うの日尠なし」と自ら述べています。

こうして勉学にうちこみ文章博士に任じられた時

「文章博士は材に非ざれば居らず。吏部侍郎は能有らばこれ任ず。
余が祖父より降りて余が身に及ぶまで三代相承け、両官失うことなし。
故に謝詞有り」と大いに面目を施しています。

「家業 年祖 本 詩を課す」すなわち詩は先祖から伝えられた職業であり、
「父祖子孫 久しく要期す」と菅家では父祖以来子孫に至るまで、
 詩作は約束事であると襟持しています。

宇多天皇は

「菅原朝臣は、これ鴻儒なり、又深く政事を知れり。朕選びて博士と為し、
 多く諌止を受けたり」

 「菅原朝臣は朕が忠臣のみに非ず、新着の功臣ならめや」

 と道真を高く評価し、信頼を寄せますが結果としてこのことが逆に太宰府への
 左遷へとつながってしまいます。

百人一首に採られた
「このたびは ぬさもとりあえず・・・」この歌はその宇多天皇の奈良吉野宮滝への

 行幸に伴したときの歌と伝えられています。

 紅葉を錦に見立てる発想は漢詩的発想と言え、古今集でもこの1首のみです。

 この歌の歌碑は東大寺の手向山八幡宮の境内にありますが、この歌にある手向山は
 一般名で、この地で詠まれたわけではありませんが、奈良で詠まれたという点では
 間違いありません

 
 

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