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橿原で用事を済まし、少し時間があったので、以前から一度は行きたいと考えていた飛鳥小原
(万葉集では大原)の里へ行ってきました。
思い立って突然来たので詳しい場所も全く分からずとりあえず飛鳥坐神社を目指しました。

神社に参拝を済まして横手の道を歩くこと数分で目指す大伴夫人の墓の石柱が見つかりました。

石柱の前に置かれた案内板によれば、円墳は東西約11m、
南北約12m、高さ約2.4mの大きさの墳墓とのことです。

 大伴夫人とは、大伴咋(くい)の娘・智仙娘のことで、
中臣御食子
(なかとみのみけこ)の妻となって鎌足を生んだとされています。
ちなみに、大伴咋は任那問題で失脚した大連・大伴金村の子で、崇峻天皇から推古天皇の時代にかけて活躍し、崇峻天皇4年には、任那再興のため大将軍となって筑紫まで出陣している。 
 
仏教導入を巡るいわゆる物部戦争で物部氏に味方して一旦力を失ったと考えられる中臣氏ですが、
大友氏と縁戚をむすべるまでに勢力を回復したのか、逆にこの婚姻によって力をつけたのかは判断が難しいところですが、鎌足が中央で活躍できるにあたっては大伴氏の後援を得られたのは大きいと思います。

「大伴夫人の墓」から少し先の道路の反対側に、小原の人たちが氏神様と呼んでいる小さな神社が
 あり、大原神社と呼ばれているようです。
 その境内の前に「大職冠誕生旧跡」と書かれた石柱が建っています。

大織冠とは、天智天皇8年(669)10月、天智天皇が死の床にある中臣鎌足の家に
弟の大海人皇子を遣わして、藤原の姓とともに授けた大臣の位であり、
正一位に相当するという。
これ以後、中臣鎌足は大織冠・藤原鎌足と呼ばれるようになる。

誕生地の伝承が正しければ、鎌足はこの地で推古天皇22年(614)に生まれたことになります。

その鎌足が産湯に使ったとされる井戸が、神社の裏手の北側にあり、「藤原鎌足公、産湯の井戸」
と書いた木の表示板が建っています。
大原神社の脇を通って、裏の森の中へと下りて行くとその井戸があります。

但し網干氏の調査ではこの井戸は、それほど時代をさかのぼらないという結論に至っています。

 天平宝宇8年(764)に恵美押勝の乱を起こしたことで世に知られる藤原仲麻呂は、
生前に『藤氏家伝』を編纂しています。
その上巻は中臣鎌足に当てたもので、特に『大織冠伝』と呼ばれており、
『大織冠伝』には、鎌足の誕生地を「藤原第」と記してあります。
 
おそらく、この井戸でなくてもこの地に古くから井戸があり、藤の木がそばにあったことから
大原のあたりは、そのころ「藤井が原」、もしくは略して「藤原」と呼ばれており、
藤原と言う姓もこの地から名付けられたともいわれています。
藤原第とは大原の里にあった邸宅のことで、この記述を根拠に鎌足生誕地として伝承されてきたわけです。

鎌足誕生の伝承地は他にもあり、平安時代後期の作品で藤原氏の栄華を描いた歴史物語「大鏡」は、鎌足の生地を鹿島神宮のある常陸の鹿島であると書いています。
鹿島神宮の近くにはその鎌足誕生に地と言われるところに鎌足神社があります。
 

 『藤氏家伝』は、鎌足の長子定恵(貞慧)の死没地を「大原殿」と記し、
さらに鎌足の孫に当たる武智麻呂の誕生地を「大原の邸」と記していいます。
このことから、少なくとも御食子-鎌足-不比等-武智麻呂と続く藤原の邸宅がこの地にあったことはまず間違いありません。
大鏡は平安時代の書で、史書と言うより物語であり史料批判の立場からは『藤氏家伝』の方が時代も近く、こちらの記述を信じるべきでしょう。
  鹿島の地が鎌足誕生の地と広く信じられているのは、春日大社の祭神に鹿島神宮の神である武甕槌神が祭られていることが平安時代において、すでに不可思議と思われていたからでしょう。

現場に来たからと言って何が分かるわけではありませんが、やはりその地の空気を吸うことによいろいろって想念がわき、来たかいがありました。

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