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でも、立ち止まって入られない。
この就職難の時代に大卒フリーターなんてごめんだ。
こうしてせっせと就活に打ち込む日々が続いた。
後期の試験もあった、1月、2月は何時も以上に早く過ぎ去って行った。
でも就活って自分で自己嫌悪になる。
言ったら、うそつきになりそう。
ろくに会社のことも知らないくせに、是非御社に入りたい。
企業風土にあこがれて、業務内容が素晴らしいとか、心にもないことを、志望動機に書いて、
自己分析なんて、ほんとに思ってないことをいっぱい書き込んで、面接になったら、それこそ、口からでまかせ。
ま、私が面接官でも落とすだろうな。
実際は自分のやりたいことがわからないし、会社の仕事内容も理解できない。
なおに言わせれば、「そんなのお互い様、狐と狸の騙しあいよ」
何て言うけど・・
「ああ~あ、春休みだて言うのに、旅行もいけないし、毎日が憂鬱」
「奈美、この前のちょっと良い感じって言ってた人、どうなった?」
「なーんにも。それにこの前おん祭に彼女らしい人と来てはったの」
「でも、べつに彼女かどうかわかんないじゃん」
「ええねんもう、今はそんなこと考えて場合ちゃうし」
「なおはうまく行ってるの?」
「なにが?就活?」
「ちがうよ!かれと」
「ああ、まあまあってとこ」
「いいな!!ねえ今度合コンの話しあったら声かけて」
「合コンなんていらんって、前に言ってたのに」
「心境の変化、なんか毎日つまんないもん」
「わかった、じゃ今度話があったら、声かけるね」
そんなある日、バイト先のレストランで、外を見るともなく見てたら、え!!あれは山本さん。
え、え、奈良にきたはったの。
一人やはわ。
去年のおん祭で声をかけそびれて、挨拶もしてなかったけど、
あれからずっと山本さんのことをなんとなく考えてることがある。
でも、突然本人が現れると、うろたえてしまう。
どうしよ、この店に入ってくる。
すぐにでも行きたいけど、なんかちゅうちょする。
でも、仕事だし一応なにげなくお水を出して、注文を聞く。
でも、全然気づいてくれない。
まさか、私のことおぼえてないんかな?
と、山本さんが目を上げて
「あ、春野さんどうしたの?」
「どうしたって、ここでバイトしてるんですよ」
「あ、そうか、そうだね。いや~びっくりした。
こんなとこで春野さんに会えるなんて」
「今日はお一人ですか?おん祭のときは綺麗な方とご一緒だったから」
もう、全然言うつもりのなかった言葉が出てくる。
「ああ、いや、あの、あれはあの研究室が一緒の人で」
おかしい、なんか慌ててる。
でも、私は注文を聞いたらすぐに下がってきた。
もういや、嬉しいくせになんですなおになれない。
でもせっかくのチャンスなのに。どうしよ?
ああ、もう帰るみたい。どうしよ?
とにかく思い切ってそばまで行った。
「ありがとうございました、何時まで奈良に?」
「今度はお水取りでね、暫らくいます。今日はバイトは何時まで?」
「え、もうすぐ上がりですけど」
「そう、良かったらマスターのとこへ来ませんか?」
「はい、それじゃ終わったら行きます」
内心、やったと言う感じ。
いちおう、このままで終わりじゃない。今までのもやもやが一気に晴れる気がする。
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