category:From マスター
店に入って行ったら、山本さんとマスターが笑顔で迎えてくれた。
いやだ、私のことを話題にしてたんだ。
でも良い、またこうして山本さんと話ができるなんて、少し前まで思ってなかった。
それから何時の間にか、2時間以上話をしていた。
山本さんの名は祐介。
実家は神奈川の川崎市。
今はドクターの2年目、来年も大学に残ることは決まっているらしい。
この前の彼女は同じ研究室のM2で、おん祭を見たいと言うので、一緒に来たとか、
なんか一生懸命言い訳してる、でも、もう良い。
今こうして話できたんだもん。
家に帰ってから、なおに電話した。
『今日、この前言ってた人がバイト先に来てね、その後で何時ものさてんであったの。
明日も会う約束しちゃった。
話したら,ほんといい人で、なんかず~と前から知ってたみたいに話が合うねん。」
なんて、興奮して一人でしゃべってしまった。
迷惑だろうけど、どうしても人に聞いてほしかったんだもん。
なおは「ふん、それで、そう、良かったじゃん」
って、嫌がらずに話を聞いてくれる、ほんと感謝。
あくる日は、朝9時に近鉄奈良駅前で待ち合わせ。
三月の朝はまだまだ寒い。
でも行基さんの前は、いっぱいの人。
朝からこんなに奈良に人がいるなんてびっくり。
待つまもなく、山本さんがぼさぼさの頭で、いかにも寝起きって感じでやってきた。
昨日はお水取りを見て、夜中まで起きていて、明け方ちょっと寝てたら寝過ごしたらしい。
かえって申し訳なかったな。
どうして、こんなに朝早く会ったかというと、今日は春日大社の春日蔡の日で、
そのお祭りを見るため。
春日蔡というのは、春日にとって1番大事なお祭りで、
申の日に昔は行われたから別名、申祭りというらしい。
今は、お水取りのクライマックス、12日のあくる日、13日に固定されている。
宮中から勅使が下向してくる勅使蔡で、京都の葵祭り、岩清水八幡宮のお祭りと並んで、
日本三勅使蔡として、大変格式の高いお祭りと言うことだ。
『勅使って、今でもあるんですか?』
「うん、前に国会で変な議員が、国家公務員が宗教行事に関わるのはおかしい。
なんていちゃもんをつけて、問題になったことがあるんだけど、こういうのは宗教行事というより、
日本の伝統行事としての側面で維持する方が、づっと大事なんだけどね」
「そうすよね、そんなことに文句を言う暇があったら、もっと大事なことがあるんやろに」
「はは、いや、まったくそうだ、とにかく伝統行事を維持していくのは大変なことなんだから、
文句を言うより、援助をしてほしいよね」
「昔は春日蔡はもっと大きなお祭りでね、斎女の参向なんかもあって、
今の葵祭に負けないくらい華やかだった見たいだよ。
奈良の地名で、宿院町と、内侍原町とかはこの春日蔡にゆかりの名前で、
勅使の一行が泊まったから町名になってるんだって」
へ~、奈良の人間なのに、東京の人におしえてもらってたら駄目だけど、ほんと何でも詳しい。
今は、お祭りは春日の境内から外には出なくて、二の鳥居から本殿までの間だけ行列が通るけど、
昔は町中を歩いたということ。
でもその行列は、距離は短いけど、ちゃんと古式にのっとった典雅なものだ。
今でも勅使が藤原一族とそれ以外では本殿に行く門から違うらしい。
私たちは二の鳥居を過ぎたあたりで、その行列を見物して、それから大急ぎで本殿の方へ移動した。
本殿の前の砂利の庭、そこをりんごの庭といって、りんごの木が植えられている。
枯れた時、東北の高校から変わりの木が寄進されたそうだ。
そのりんごの庭で神事の後、大和舞が演じられる。
これも演じるのは雅楽の楽人、何時も一緒に稽古をしてる人達。
大和舞は大和地方の風俗舞,楽は、和琴、篳篥、笛、それに杓拍子と唄。
雅楽の舞とはまったく違う雰囲気だ。
知らないけど、日本舞踊の源流というか、檜扇を手にして舞う姿は優美で繊細だ。
私も、あの舞をしたいな~。
男の子が羨ましい。
この舞の稽古には、わたしはまったくお呼びじゃなかった。
雅楽を始めてから、何度も男だったらと思う。
山本さんに言っても、
「う~ん、別に雅楽は男だけのもんじゃないんだけどな。
源氏物語なんかにも、女の人が舞ってる記述があったと思うんだけど」
何を聞いても、解りやすく説明してくれる山本さんだけど、
こればっかりはあんまり納得できる説明はしてくれない。
確かに、雅楽で女だから駄目って、明確に拒否されてるわけじゃないんだけど、
でも出番はどうしても男が優先される。
ちょっぴり悔しい。
今日私が舞人で、それを山本さんが見ていてくれたら、なんて妄想して・・
春日大社から今度は山間の道を抜けて、若草山の山麓から二月堂へ回った。
山本さんと歩いてると、教えられることも多いし、何より楽しくって時間を忘れる。
お水取りだってそう、一般の人というより、私がそうなんだけど、
お水取りと言うのは『お松明』と考えていたんだけど、
松明なんて本来は上堂する僧侶の足元を照らすための明かりだったのが、
だんだん巨大化して今の姿になって、ショウー化したらしい。
だからそれはお水取り、と言うより、十一面観音悔過法要、
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